乳房の良性疾患
乳房痛
乳房の痛みは誰にでも起こりうる症状と言えます。月経などに伴って定期的に発生する場合には、深刻に考え過ぎる必要はありません。痛みだけでなく、しこりを伴ったり、皮膚の赤みを伴う場合には、何か病気がかくれている可能性もありますので、ご受診ください。また、そういった随伴症状がなくても、痛くてつらい、痛みが長引いている、など気になる場合には、遠慮なくご受診ください。
どんな疾患であれ、早めに受診することが早期回復につながり、患者様の穏やかな生活を取り戻す一助となります。
乳腺症
女性ホルモンのバランスが崩れたことによって乳腺に生じる腫れや張り、乳腺の痛みや灼熱感などを総称して乳腺症と呼びます。20~50歳の女性によく見られ、画像検査で腫瘤などを認めた場合には、乳がんが隠れていないかを精査する必要があります。乳がんと似たような画像を呈することがあるため、時には針を刺して病理検査を行い、悪性でないかを確認する必要があります。乳腺症は通常、治療の必要は無いですが、やや乳がんを発生しやすくなるタイプの乳腺症もあるため、定期的な検査が勧められます。
■乳腺症によくみられる症状
- 乳房の張った感じや圧痛が生じる
- 境界の明瞭でないしこりを触れる
- 症状が月経周期に応じて変化する
石灰化
乳腺の中にカルシウムが沈着した状態で、良性の石灰化と悪性の石灰化があります。マンモグラフィ検査で見つかることが多く、悪性を疑う場合には精密検査が必要です。悪性であっても、ごく初期の乳がんであることが多いため、早期に適切な病理診断を行うことが大事です。当院では石灰化を確実に採取できるステレオガイド下マンモトーム生検を、連携している医療機関でスムーズに実施することが可能です(副院長が東京医療センターで実施し、結果は当院でお話しいたします)。
(不均一)高濃度乳腺
マンモグラフィ検査を受けると、特に20-40代の方では、(不均一)高濃度乳腺と結果通知されることが多いです。これは病気ではなく、その方の乳腺の状態を表した言葉です。マンモグラフィでは乳腺が白く映りますが、病変も白く映るため、乳腺濃度が高い方は、病変を隠してしまうことがあります。(不均一)高濃度乳腺の方は、マンモグラフィだけでなく、乳房エコー検査を併用することで、検査精度が上がります。
良性腫瘤
乳房内には様々な良性腫瘤ができます。腫瘤とはいわゆる「しこり」のことです。しこりを自覚して来院され、検査の結果、乳がんではなく、良性腫瘤と診断されることは多々あります。
■乳房良性腫瘤によくみられる症状
- 境界の明瞭なしこりが触れる
- しこりの大きさが1~2cmくらい
- しこりは弾力があり、ころころと動く
- 月経周期に応じて痛みが出ることもある
以下、良性腫瘤の代表的なものをご紹介いたします。
線維腺腫
線維腺腫は主に20~40代の女性に多く見られる良性腫瘍です。しこりを自覚することもあれば、検診で偶然発見されることもあります。まずは診察を受け、乳がんなどの悪性腫瘍でないかどうかを確認しておくことが大切です。線維腺腫との診断が確定していて大きな変化が無ければ、定期的な診察で経過を観察します。急速に大きくなったり3cmを超えたりする場合、また患者様に摘出の希望があるような場合には、手術をすることもあります(当院で日帰り手術が可能です)。
のう胞
袋状のできもので、内部に液体成分がたまっています。小さいのう胞の場合、自覚症状はないことが多く、検診などで偶然発見されます。良性であるため、治療の必要はありませんが、大きいのう胞の場合は、膨らみや痛みを自覚することがあり、気になる場合には、細い針を刺して中身の液体を抜くことで、膨らみや痛みは消失します。また、のう胞の中の一部に腫瘤を伴う場合には、「のう胞内がん」という種類の乳がんの可能性も否定できないため、腫瘤部分に針を刺してがん細胞の有無を調べます。
乳管内乳頭腫
乳房内には母乳の通り道である乳管が多数ありますが、その乳管の内側にできる腫瘤を乳管内乳頭腫と呼びます。乳頭近くの太い乳管に発生することが多く、乳頭から血性の分泌物が出る原因となることもあります。初期の乳がんと区別することが難しく、針を刺してがん細胞の有無を調べることもあります。
葉状腫瘍
乳腺に発生する腫瘍の一つで、良性、境界悪性、悪性の3種類に分類されます。葉のような形をした腫瘤で、3cm以上の大きな腫瘤であることが多く、葉状腫瘍を疑った場合には、針を刺す検査を実施します。良性であっても、増大し続ける場合には切除をお勧めしています。境界悪性、悪性の場合には、乳がんの一種とういうことになるため、乳がんの手術のできる病院へご紹介いたします。良性の場合は、当院での日帰り手術が可能です。
乳輪下膿瘍
乳輪の下に膿がたまったもので、急性乳輪下膿瘍と慢性乳輪下膿瘍に分けられます。陥没乳頭(下記参照)の方にみられることが多く、炎症を起こしている場合には抗生剤の治療や、切開排膿術を行います。慢性的に炎症を繰り返す場合には、膿瘍摘出術の適応となります。その場合は、当院での日帰り手術が可能です。
陥没乳頭
乳頭が乳輪より奥に凹んでいる状態です。陥没した部位に汚れが溜まりやすく、菌が増殖して乳腺炎を起こしやすくなります。また、赤ちゃんが乳首を咥えられないなどの授乳障害も生じます。治療は局所麻酔下の手術で、日帰りで行えます。
保険適応となることもありますので、お気軽にご相談ください。
副乳
乳房ではない部位、多くはわきの下に乳腺組織が存在することがあり、これを副乳といいます。生まれつきのものであり、女性の5%くらいに認められます。生理前には通常の乳腺と同様に腫れて痛みが出ることもあります。授乳期には副乳でも乳汁を産生するようになりますが、乳汁の出口があっても細いため、乳汁がたまって乳腺炎のような強い痛みを伴うことがあります。また、副乳から乳がんが発症することもあります。そういった病気を発症しなければ、特に治療の必要はないですが、膨らみが気になってノースリーブが着られないという方もいます。ご希望があれば、当院で局所麻酔下にて副乳を摘出することが可能です。
女性化乳房症
男性が女性のように胸の膨らみがある状態を女性化乳房と呼びます。内服している薬剤が原因で起こることもありますが、多くは若い男性に起き、ホルモンバランスが崩れて女性ホルモンが増えることにより、乳腺組織の肥大が起こります。自然に消失していくこともあるため、まずは様子をみていきます。また、男性乳がんを否定するために、マンモグラフィやエコー検査を実施することもあります。自然に消失しない場合や、増大傾向、はじめから10cm程度の大きな乳腺組織がある場合、手術での切除をお勧めしています。内分泌疾患が隠れている場合もありますので、まずは適切な医療機関へご紹介いたします。
乳腺良性疾患の日帰り手術について
当院では日帰り手術(局所麻酔)が可能です。
手術は形成外科専門医である院長が担当し、手術のスペシャリストである形成外科医ならではの技術で、より細かく縫合し、綺麗に仕上がるように心がけています。
乳房の良性疾患は、ほとんどが保険診療で治療できますので、お気軽にご相談ください。
Clinic overview
クリニック概要
- クリニック名
- Y&Mクリニック幕張
- 院長
- 笹原 資太郎
- 副院長
- 笹原 真奈美
- 診療内容
- 皮膚科、形成外科、美容皮膚科、乳腺外科
- 住所
- 〒261-0026 千葉市美浜区幕張西4-2-12(イオンタウン幕張西2階)
- 最寄駅
- JR・京成 幕張本郷駅、JR・京成 幕張駅、JR海浜幕張駅
- 車での
アクセス - 幕張ICすぐ
駐車場144台完備(イオンタウン幕張西内)